子どもが小学校高学年~中学1年生の親子12組に、小学生の放課後について聞きました。親子共通の心配事は、留守番や帰り道の安全面。友だち関係については、親が思うほど子どもは気にしていないようです。そして、親が一方的に心配するのが、放課後の過ごし方。「ダラダラ過ごさないで」「宿題をきちんとやって」と願う親は多いようです。
ママたちの対策実例とともに、子育てアドバイザー・高祖常子さんのアドバイスもご紹介します。
子どもの声「家に不審者が来たらどうしよう…」
親の声「一人きりでのお留守番が心配」「学童からの帰り道や習い事の行き帰り。安全面が心配」
「習い事があるときは時短を利用してお迎えに」(女児の母)
「キッズ携帯を持たせて位置情報を確認」(男児の母・女児の母 複数)
「シッターさんに見守りを依頼」(女児の母)
危機管理能力を養うことも大切!
留守番や送り迎えに関しては、民間や自治体の子育て支援サービス(ファミリーサポートなど)で見守りや送り迎えを頼む方法もあります。
ただ、高学年ごろからは一人でも安心して留守番できるようにしたいものです。そのためには、低学年のうちから危機管理能力を養うことも大切です。
は親子で確認しておきましょう。
見守ってもらえるご近所づき合いを
子どもが困ったときに駆け込めるご近所があるのは、心強いものです。たとえば、災害時、自分はすぐに帰宅できないけれど、ご近所さんに子どもの無事を確認してもらえると安心できますよね。
ご近所の顔見知りを増やすためにも、夏休みのラジオ体操や町内会の行事などには、親子で参加するのがおすすめ。地域の夏祭りなど、若い親子がお手伝いすれば、地元の高齢者も喜んでくれるでしょう。信頼できる地域の顔見知りを増やし、子どもを見守ってくれたり、成長を喜んでもらえる環境づくりを心がけましょう。
子どもの声 「親がいないと、友だちを家に呼べない」
親の声 「学童以外の友だちと遊べないので、友だち関係が限られる?」
「土日や長期休暇は、友だちを家に呼んで遊ばせる」(女児の母)
「土日は予定を入れずに、友だちと遊べるようにする」(女児の母)
親が不在でも友人宅との行き来はあり
4年生ぐらいになれば、親が不在でも家で友だちと遊ぶことはさせても大丈夫ではないでしょうか。そのためには、
・親同士が連絡を取り合える関係であり、‟お互いさま”という気持ちを共有する
・家に友だちを招いて遊ぶ際のルールを子どもと決めておく
・友だちの家で遊ぶときのルールや礼儀を子どもと確認しておく
ことが大切です。
大人の声「ゲームばかり、していそう」「ダラダラしていそう」「宿題をしない」
「宿題は学童でさせる」(男児の母)
「習い事を増やす」(男児の母)
「帰宅後、宿題をこまめにチェック」(女児の母)
親の心配を伝えて、親子で話し合おう
親は心配だから、習い事を増やしたり、ゲームを制限したりしがちです。しかし、それは親が一方的に決めたことになっていませんか? それだと子どもは「させられている」と感じ、自主性が育つのを妨げてしまいます。たとえば、「ママは帰宅後すぐに宿題しなさい。と言うけれど、自分はのんびり休んでから宿題をしたい」と、子どもは思っているのかもしれません。
ゲームの時間を決める場合も、「なんで制限したい気持ちになるのか」という親の心配を伝えて、子どもの意見やどうしたらいいかという考えも聞いてみましょう。親子ともに納得できる対策が見つかるかもしれませんよ。
子どもの声「親の帰宅が遅いと、おなかがすく」「家の中の何を食べていいのか・ダメなのか、がわからないと困る。電話で聞くのもめんどう」
自分で判断できる力もつけよう
「コレは食べていい?」など、なんでも親に聞いてからするクセがついていませんか? ある程度は子どもの判断にゆだねることも、子どもの成長には大切です。たとえば、「この棚のものは使う予定があるから食べないでね。あとは自分で考えて」など、ルールを決めておくのもいいでしょう。
また、ご飯を炊くなど、簡単な調理はできるようになっておくと、子ども自身だけでなく家族みんなが助かります。
そのためには、休日は一緒にご飯作りをしたり、平日も皮むきを手伝ってもらうなど、親子でキッチンに立つ機会を増やせるといいですね。
共働きがスタンダードになってきた時代。子育て中だからと、パパもママもキャリアアップをあきらめる必要はありません。
日本の社会も「長時間労働をなくそう」という方向に動いています。これからは、個人のキャリアにも社会にも、自分や家族の生き方を大事にした‟幸せな働き方”が問われていくでしょう。
すぐに変わるわけではありませんが、その流れを後押しするように、企業も個人も‟働き方”を見直すタイミングが、今なのだと思います。
そうした変化の中で、子どもと向き合える時間は、しっかり押さえておきましょう。それは時間の長さではなく、時間の雰囲気がカギになります。子どもも親も、ゆったりした気分で過ごせる時間を大切にしてください。
家族は最後の砦(とりで)です。万が一、仕事がなくなっても、家族はずっと家族。学校や仕事で大変なことがあっても、家庭でエネルギーを受電できるから、親も子も再び外に向かうことができます。
せっかく家族になったのですから、家族でいる時間を楽しく過ごさないと、もったいない! そのために、「自分自身のキャリアビジョン」「自分だけの時間」「家族の時間」について、パートナーと話し合っておきましょう。
アドバイス/高祖常子さん
子育てアドバイザー。社会人の子ども3人の母。認定NPO法人児童虐待防止全国ネットワーク理事、NPO法人ファザーリング・ジャパン理事。著書に『イラストでよくわかる 感情的にならない子育て』(かんき出版)など。