妊婦のくらし

【医療従事者向け】つわりへの対処②

2018.08.01

今回は、つわりを体験する妊婦さんが実際に重要と感じている対処法に関する研究論文をご紹介します。

Chandra K, Magee L, Einarson A, & Koren G (2003).

Nausea and vomiting in pregnancy; results of a survey that identified interventions used by womento alleviate their symptoms.

Journal of Psychosomatic Obstetrics and Gynaecology, 24(2), 71-75.

(https://www.tandfonline.com/doi/pdf/10.3109/01674820309042804?needAccess=true)有料

つわりを体験する妊婦さんが選択する対処法については、国内外にいくつかの調査があります。その中でもこちらの調査は、各対処法を重要と認識した妊婦さんの割合に加えて、その対処法が重要と認識した妊婦さんの中での重要度も示されている点が非常にユニークです。

「休息、睡眠をとる」と「新鮮な空気を吸う」は、最も多い77.2%の妊婦に重要であると認識され、また重要と認識した妊婦の中での重要度は4.04、3.58と非常に高いものでした。対処法としてよく聞く「少量ずつ頻回に食べる」も、71.2%と多くの妊婦に重要と認識され、重要度も3.54と高い結果でした。

一方、「気を紛らわす」は半数の妊婦が重要と認識しながらも、実際の重要度は0.50と最も低いものでした。よく「気分が悪いのは気のせいよ。気を紛らわしたらいいんじゃない」と周囲に勧められることがあるけど、それはほとんど効果がないものなのかもしれませんね。

ここで注目したい結果は、重要と認識する妊婦が少ないものは重要度も低く評価されるのかと思いきや、そうではないことでした。例えば、「ガムを噛む」が重要と認識した妊婦は4人に1人程度ですが、その重要度は3.05とまずまず高いものでした。同じ様に、「特定の臭いを嗅ぐ」を重要と認識した妊婦も8.8%しかいませんでしたが、重要度は3.57と結構高いものでした。

この結果から、対処法の中には、誰しもが重要と捉えるものではないものの、重要と捉える人は一様に高く評価されるものがあることが見えます。つまり、妊婦さんによってつわりが楽になる対処法は様々であるということがわかります。「AさんにもBさんにもトマトを食べるとつわりがマシになるよって勧められたけど私は全然楽にならなかった・・・」など、つわりを体験する妊婦さんによって効果的な対処法が異なることはよく聞きますが、こちらの調査結果はそのことを研究的に明らかにした点で意義あるものだと捉えています。

前回のコラムで、今のところ、つわりへの効果が十分明らかになっている対処法はないことをご紹介しました(前回のコラムリンク先)。妊婦さんによってつわりが楽になる対処法が様々であることも、このようにつわりへの効果が十分明らかになっている対処法がないことに関連しているのかもしれませんね。

妊婦さんによってつわりが楽になる対処法が様々なのであれば、それぞれの妊婦さんはどうやって自分に合った対処法を見つけたらいいのでしょう??次のコラムでは、妊婦さんがどのように自分に合った対処法を見出しているのかについてご紹介したいと思います。

余談ですが・・・、こちらの調査は、カナダのThe Hospital for Sick Childrenが運営する「NVP Helpline(つわり専門電話相談窓口)」に連絡した妊婦さんを対象としたものです。この相談窓口を利用するつわり体験者などの声を元に、これまでつわりに関する多くの知見がカナダから発表されています。残念ながら現在こちらの相談窓口はなくなっているようですが、日本にも「つわり専門電話相談窓口」が出来ればいいな。

岩國亜紀子(関西医科大学看護学部、助産師)

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